聞こえなくなってから周囲から孤立してしまいました……。
どうやって生きていけばいいのか分からなくて苦しい
聞こえなくなってしまうと、上のように周囲から孤立したり仕事が困難になったりしてどう生きていけばいいのか分からずとても苦しくなります。
この聞こえないことで起きる苦しさは、実はあることで解決することができます!
管理人の町草も小学生の頃に聞こえなくなった中途失聴者で、今では両耳とも100dBの重度の感音性難聴で補聴器を付けても聞き取りが困難という状態です。
聞こえなくなった当初は本当に苦しく大変でしたが、現在ではあるコツを意識することで生きることにそこまで困難を感じず楽になりました。
そのコツとは、「コントロール感を得ること」で具体的にどういうことなのかご紹介します。
聴覚障害の苦しさはコントロール感を得れば軽くなる!
聴覚障害がとても苦しく感じるのは、「コントロール感がまったく無いと考えて絶望するから」です。
コントロール感とは、「自分はこの問題に対処できる」という感覚のこと。
だから、コントロール感がまったく無いと思えば、どうしようもないので絶望し思考停止して苦しくなってしまいます。
逆に言えば、聴覚障害という問題に対処する方法が分かれば絶望感は消えて「何とかなる」と自信を取り戻すことができます。
ここで注意して欲しいのが以下のことになります。
聴覚障害という問題に対処する=聴覚障害を治せば良い! ×
聴覚障害という問題に対処する=聞こえないことで起きる問題の対処法を身に付ける 〇
残念ながら現在の医学では、一度固定化してしまった聴力を以前の状態に戻すことはできません。治せないからこそ、聴覚障害になってしまうと絶望しやすい原因となっています。
だから治すのではなくて、聞こえないことで起きる様々な問題への対処法を身に付けることでコントロール感を得るようにしましょう。
次では聞こえなくなると起きる4つの問題に対して、どう対処していけばいいのか解説します。
中途失聴者によくある4つの問題を解決!
それでは、まずは耳が聞こえなくなってしまうと起きる4つの問題の解決方法をお伝えします。
- 聞こえないから「コミュニケーションが困難」になる
- 目覚まし時計の音が聞こえないから「朝起きられない」
- 「電話が使えない」ので連絡が不便に
- インターホンの音が聞こえないから「来客があっても気づかない」
それぞれ具体的な解決方法をお伝えしますので、対処法を身に付けて聴覚障害に対するコントロール感を得ましょう!
①コミュニケーション方法は「スマホ+筆談器」がベスト!
中途失聴者のコミュニケーション方法は、「スマホで音声入力アプリを使いつつ筆談器も併用する方法」がおすすめです。
今の音声入力アプリは精度が高いので実用的ですし、中途失聴者なら喋れるためスムーズなコミュニケーションができますよ!
管理人が使っているはUDトークというアプリで、これがなかなか精度が良く相手が喋ったそばからどんどん文字にしてくれます。
その上で上手く変換されなかったところは筆談器に書いてもらいつつ、管理人は滑舌が悪いので喋りながら発音しにくいところは筆談というスタイル。
これで結構うまくコミュニケーションが取れているので、もしお困りでしたら同じようにやってみてください。
②「スマートウォッチ」を目覚まし代わりにしよう
一応、聴覚障害者向けの振動する目覚まし時計はありますが、個人的には目覚ましはスマートウォッチをおすすめしています。
スマートウォッチは設定した時間になると振動でお知らせしてくれて、腕に巻き付けるので寝ている間にずれ落ちず目覚まし時計として優秀だからです。
管理人も使っていますが、「Xiaomi(シャオミ)のスマートバンド」が低価格で振動の長さを細かく設定できるためとても使いやすいですよ。
何より1回充電すれば2週間は持ち、旧モデルなら3000円ほど最新モデルでも6000円台と手ごろなので助かります。
歩数計や心拍数、睡眠計と多機能で便利ですので、ぜひ目覚まし時計はスマートウォッチを使ってみてください。
昔は振動する枕型の目覚まし時計を使っていましたが、寝相が悪いためベッド外に落としてしまい起きれなかったことが何度もありました
③「電話リレーサービス」を使えば聞こえなくても電話が使える
実は公共サービスである「電話リレーサービス」を使えば、まったく聞こえない人でも電話を掛けることができます。
これはテレビ電話を使い、オペレーター(AIではなく生身の人間)が間に入って手話・チャットで通訳してくれるサービス。
最初に登録して許可を得る必要はありますが、無料で使えて24時間・365日いつでもOKです。もちろん、警察や消防への緊急連絡もできますので、登録しておけばいざとなった時も安心ですね。
障害者手帳を持っていれば登録は簡単ですが、持っていない人も医師から音声通話が困難である旨の診断書があれば受け付けてもらえる可能性があります。
電話が使えないと悩んでいるなら、まず電話リレーサービスに登録しましょう!
④インターホンが聞こえないなら「ワイヤレスチャイム」を使おう!
インターホンの音が聞こえないから来客が分からない時は、光でお知らせしてくれるワイヤレスチャイムを使えば解決できますよ!
ワイヤレスチャイムは「ボタン付きの送信機」と「LEDライトやスピーカー付きの受信機」の2つからなる機械。送信機を玄関先に設置してボタンが押されたら、受信機が光る+チャイム音でお知らせしてくれます。
受信機をいつもいる部屋に付けておけば、来客があったら光るのですぐ分かるように。ワイヤレスチャイムは値段が2000~3000円ほどと低価格で、設置もテープやねじで固定するだけなので自分で可能です。
インターホンが聞こえないなら、ワイヤレスチャイムを設置しましょう!
聴覚障害は必ず自分から伝えないと理解されません
中途失聴者が他人と関わる上でとても重要な事ですが、聴覚障害は必ず「自分から周りの人に」伝えてください!
目で見えるような病気ではありませんので、言わないと絶対に理解されません
伝える時は自分の聴力はどんな感じで、どういったサポートをしてほしいかも合わせてはっきり言いましょう。ただ状態を伝えて、どうすればいいのかを相手に丸投げしても上手くいきません。
自分の言葉で伝えにくい時は、紙に書き出してそれを相手に見せてください。最初は勇気がいりますが、結構皆さん対応してくれますので大丈夫ですよ!
なお感音性難聴の方は補聴器を付けても聞き取りにくい点の理解されにくさは把握しておきましょう
感音性難聴になると補聴器を付けても、相手が何と言っているのか非常に聞き取りにくくなります。
この症状を管理人も周りに話したのですが、まったく理解されず「頭がおかしい」「知能に問題があるだけ」とかなりひどいことを言われた経験があります。
感音性難聴の場合は、ネットで調べてみて医者が解説している文章があればそれを見せるのが一番です。
人間は内容よりも誰が解説しているのかを重視しますので、専門家である医者の文章ならある程度は伝わるでしょう。
もし可能なら、上司をかかりつけ医に会わせて耳の状態を医者から説明してもらえば一番効果があると思います。
中途失聴者が生活する上で知っておくべきこと
耳が聞こえなくなったら、知っておかないと生活が大変になってしまうことをお伝えします。
滑舌がどんどん悪くなるので定期的に発音練習が必要
中途失聴者は喋ることが出来ますが、放っておくとどんどん滑舌が悪くなって伝わらなくなるため月1~2回は発音練習してください。
人は自分の声を聞くことで調整していくものの、耳が聞こえなくなるとこの調整ができなくなり滑舌が自然に悪くなっていきます。
発音練習の方法はニュースとかなんでもよいので読んでみて、上で紹介したUDトークで正しく読み取れているかチェック。
もし読み取れない全然違う言葉になるなら滑舌が悪い証拠ですので、ゆっくりはっきり喋るように修正してください。
なお、両手で耳を塞ぎながら発音すると口から出た言葉がよく聞き取れるようになりますので、繰り返し発音して滑舌を良くしていきましょう!
手話よりもアプリを使ったコミュニケーション方法に慣れることが先決!
聴覚障害者と言えば手話ですが、中途失聴者はまずアプリを使ったコミュニケーション方法に慣れるようにしてください。
理由はそもそも手話が出来る人が周りにいないと覚えても意味がなく、誰かと一緒に覚えるとしても外国語を覚える並みの労力が掛かってしまうからです。
それよりは、多くの人に使えるアプリを使ったコミュニケーション方法を先にマスターした方が効果的ですね。
3つのストレス対策を身に付けよう!
聴覚障害者になると、正直に言ってどうしてもストレスを抱えてしまうことが増えます。聞こえないのはかなり不便ですし、仕方ないですよね。
そのため、中途失聴者になったら、簡単に出来る3つのストレス対策を身に付けてください。
イライラや不安を解消できる「ジャーナリング」
ジャーナリングは別名「書く瞑想」とも言われ、頭に浮かんだことをとにかく紙に書き続ける方法です。
特に感情について詳しく書いていくことで、その感情が消化されすっきりする効果があります。具体的なやり方は、以下の通りです。
- ノートとペンを用意し、タイマーをセット。(時間は10~15分ほど、スマートウォッチを使ってください)
- 頭に浮かんだことを、どんどんノートに書き続ける
- 感情が浮かんだら、例えば「不安を感じている」「イライラしている」
- 考えが浮かんだら、例えば「明日の仕事でやることは何だっけと思った」
- 時間になるまでどんどん書いていきましょう
管理人も朝や落ち込んだ時に行っていますが、終わった後はすっきりとして集中できるようになります。
簡単にリラックスできる「呼吸法」
強く不安を感じたり落ち着かない時は、この呼吸法を試してみてください。
- 4秒かけて鼻から息を吸う
- 4秒だけ息を止める
- 8秒かけて口から息を吐く
- 1~3までを10回繰り返す
この呼吸法はストレスが掛かった時に優位になる交感神経を落ち着かせ、副交感神経を優位にするものです。
管理人もよく行っていますが、ストレスを感じたらこの呼吸法をやれば落ち着くのでおすすめですよ!
時間は掛かるが「マインドフルネス」で集中できる
習得まで時間は掛かりますが、マインドフルネスを行うことで集中力が付くだけでなく動じにくく落ち着いて行動できるようになります。
とても簡単な方法なので、暇があればやってみてください。
- 呼吸の感覚に意識を向ける。鼻から入って来る空気や、出ていく空気を感じ取る
- 呼吸から意識が離れたら、何も考えずに呼吸に意識を戻す
- 1と2を決めた時間まで繰り返す
マインドフルネスはとてもシンプルなもので、何かに意識を向け続け離れたら戻すを繰り返すだけです。
こうすることで集中力が付きますし、段々と距離を取って観察する意識が生まれてくるので感情に巻き込まれてなくなってきます。
こんな時はどうすればいいのか迷ったら記事を読もう!
最初は聴覚障害が苦しくて仕方なかったと思いますが、読んでいくうちに段々と「あれ、何とかなりそうだ」と思えてきませんでしたか?
これはコントロール感を得て、聞こえないことで起きる様々な問題に対処できるようになって自信を取り戻せたからです。
恐らく今後も何かしら聞こえないことで問題が出てくると思いますが、そうした問題が出たらまずは調べてください。
同じ経験をした誰かが、対処法を書いてくれているかもしれませんよ。
「ブログ:中途失聴者として生きる」や「町草のブログ」では、聴覚障害者にある困り事を解決する記事を書いています。もしかしたらその中に答えがあるかもしれませんので、ぜひサイト内を探してみてくださいね!